姥捨て山

ふきだまりのまち

歪み

人とモノの考え方がずれていることが多々ある。日常会話では特に支障はないのだけど、これが仕事になるとまた違ってきて、その噛み合わない差異のせいで意思の疎通ができなかったりする。自分でずれてることを自覚していても、今ずれてるか/ずれていないかが分からないから、ああこういうことかと理解(つもりになっているだけ)しても、実際蓋を開けたら全然違っていることもある。二次創作で文章書いてて、感想を頂いた時に自分が意図して書いたものと違う受け取り方をされるのはよくある話なのだけど、本を読んでいた時に人の感想文を聞いたときに自分と受け取り方が全然違ってびっくりしたとか、逆にわたしの感想を述べた時に、その考えには行き着かないと言われたりもある。なんかどこか少しだけずれてて、話の大筋は合ってるんだけど話の結果が噛み合ってない感じ。何を言いたいかよくわからないけどその差異をどう潰していいかわからなくてすごく困ってるし、アバウトな話の振られ方をすると猛烈に腹が立ってしまう。本当に、「最近どうよ」ってなんについて聴いてるのかがさっぱりわからなくて答えようがないし、面談でよく聞かれる「得意なことはなんですか」って言われても、どの範囲の得意なことなのかさっぱりわからない。テストをするからテストの範囲のことを聞いているのか、それともIT全般に関することなのか、コードを書くからコードのことなのか、それとも全く違う話なのか。一括りにアバウトな質問を投げたところで何を聞かれているのかの疎通が必ずしも履かれているわけなどないし、相手はわたしに話が通じていると思ってそう降ったのかもしれないけど、わたしにはそれが全く理解できなかったから答えに詰まるし間をどう繋いでいいのかもわからない。なんて答えていいのかがわからないというか、相手が何を聞いているのかわからなくて答えようがないっていうのが正しいのかもしれない。かと言って、「得意なことは何ですかってなんについて聴いてるんですか?」って聞き返したところで、相手も何言ってんだこいつってなるだろうし、面談がお互いにとって不幸になるイベントにしか感じられなくて正直辛い

殺人鬼フジコの衝動

 

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

 

 

自分がああはなりたくないと言い続けていた母親の後ろを見事に追いかけた藤子は母親と同じことを繰り返してしまうし、藤子の娘も全く同じことを、というカルマの連鎖をするのかと思いきや、母親とは道を違えてカルマから解放されるハッピーエンドに見えなくもない話だった。

藤子ちゃんはね、あなたのお母さんとそっくりだから、お母さんみたいになっちゃだめなのよ、忘れなさいと叔母が言い続けるのが呪いにしか感じられない。
母親というものは子どもにとって世界のそれに等しいのだと思う。だから母親の言葉というものはどんなに年を取っても忘れられないのだという。

自分の幸せを守るために人を殺していく藤子の姿は、側から見ると狂気以外の何物でもない。過去の経験から一度握った幸せを失う恐怖と天秤にかけた時に殺してやる、殺してやると呪詛のように吐きながら人を殺す姿は殺人という罪を犯すのも仕方のないことなのかもしれないと思わせてくるのが恐ろしい。

ハッピーエンドに見えなくもないというのは、藤子の姿を描いた小説という体で書かれた物語だから、子どもがそのカルマから本当に解放されたかどうかがわからないから。もしかしたら解放されたいという願望があったからそういう結びにしたのか、それとも本当に解放されたのかがわからないのがすっきりしない、砂を飲み込んでる気持ち。結局それも解放されたかどうかを知っている人がお亡くなりになってしまっているから最後までわからない。

わたしが成人したあとの話なのだけれど、私の母親はよく自身の母親(つまりわたしの祖母)に、暴力を振るう夫と別れられないのはあなたがいるから、あなたの幸せを考えてのことだという話をされ続けていたという話をされていて、それは親が子どもにかける呪いだと言っていたことを思い出してしまった。そして、ばれなければどうということはないというのは遠藤周作の海と毒薬を思い出して二重に苦しくなる。

インタビュー・イン・セルを読んだらまた見方が変わると聞いたので次はそっちを見ている。

鍵のない夢を見る

 

鍵のない夢を見る (文春文庫)

鍵のない夢を見る (文春文庫)

 

 

合コンで会った冴えない男が、火災現場に調査に行く仕事をしているわたし(主人公の女)に会うために放火をしていると勝手に思い込んで「ぞっとした」とか、「気持ち悪い」と言いながら、放火犯が「放火したのは火を消してヒーローになりたかったから」と言った時、「わたしに会いたいから放火したんじゃねえのかよ!」って逆ギレしてるのを見て、勝手に思い込んでキモがっててそうじゃなかったらなんでキレるんだよ気持ちわるいなっていう感想しかなかった。これが女の感性で共感できるとかそう言うレビュー見たけど全く理解が出来なかった。

唯一理解できたのは失敗だったはずの合コンで、自分より若い後輩は遊びに出かけるような男と仲良くなってるのを知ったときの嫉妬とか、僻みの感情位。といっても無理に恋人作りたいとか思ったことがないからそれもなんとなくそう言う気持ちなんだろうなあ位の感想。

 

去年、「雨心中」という唯川恵の本を読んだんだけど、その時にもやたら優柔不断で男ひとりに振り回されまくって周りの人間を不幸にしていく女の気持ちがさっぱり理解できんと思ったし、シャクティかよ…って感想しかなかった。今回も似たような感想を持ったから、女の執念とか、そう言うよくわからない感情を描いた作品が合わないんだなあと確信した。

どこかしらわたしの感性に欠陥があるような気がしないでもない。
女の人の執念を描いた感じの本に「殺人鬼フジコの衝動」って真梨幸子の本があるんだけど、それをやたらプッシュされたけど気力がないときに見ると死ぬらしいから気力が湧いたら一回見てみようと思う。なんで合わないってわかってるものを読もうとするのかは全くわからんが、まずいとわかっていながら食べようとするのと一緒や

ババアみを感じる

ここ最近ババアになったなって思う。些細なことに腹を立てている時に「ウワ~~~~ヒステリックババア~~~~~」と自分で自分に対して言っている。ここ最近気に入らないことも気に食わないことも納得いかないことも多いけど、それらをすべて腹の中で上手く消化しないといけない。腹を立てている人間というものは醜い、感情を思い切り暴発させるさまはみっともないと思っているところがあるから、どんなに腹がたってもとりあえず我慢。

メール文章を作成している時に、「お願い致します」の「いたします」を漢字表記にするのは慇懃無礼に当たるからやめてくれって指導をされたのがイマイチ納得行ってない。慇懃無礼って「絵を書かせていただきました」とか、特に求められてないのに自分から出しゃばってやったのに、やらせていただきました!って誰もいなかったから立候補して勝手に書いたよ!みたいな雰囲気を醸し出した物言いをされるようなときに与える負の思いの事じゃないのかと思うし、「致します」を漢字で書くのが失礼なのがイマイチ理解出来てなくて(多分お客さんからのメールが「いたします」の平仮名表記だからそれに倣えという意味なのかもしれないけど)、自分の中で上手く消化できていない。

凄くみみっちいことなんだけどこれくらいの凄いくだらないことに腹を立てている。

そんな細々しい事今までだったら何も考えずに「ふうん」でやり過ごせたのになあ、と思うと一歩ずつヒステリックババアに近づいているのではないかと思うのね。

 

アラサーに両足突っ込む前に更年期始まるのでは?と思って不安になってる

読書まとめ

冊数は少ないけど読んだやつ、読んでる途中のやつ。

 

瓶詰の地獄 (角川文庫)

瓶詰の地獄 (角川文庫)

 

 夢野久作の短編集。

この人の作品は一度読んだあとにたくさんの方角から切り込んで見ると全部違ったように見えてくるし、最初に自分が感じた物事が嘘だったんじゃないかって思えてくるから気味が悪い。

「死後の恋」「一足お先に」がお気に入りだけど、どれに対しても感じるのは、家の鍵を絞めて出てきたはずなのに「本当に鍵かけた?」って言われ続けると不安になってくるあの感覚が蘇って背中がむずむずするってこと。

海と毒薬 (新潮文庫)

海と毒薬 (新潮文庫)

 

 九州大学生生体解剖事件をモチーフにした作品。

人間の罪悪感はどこから来るのかという話。宗教を信仰している人のいう「神様からの罰が怖くないのか」と、「人からどう見られるかだけを怖がっている」という罪悪感に対する見方が対照的。

 

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

 

 「瓶詰地獄」を読んでワンクッション置いてから読もうと思ってたこの本。

読んでるけど開始100ページあたりでもう何がなんだかさっぱりだぜ…って思えてくるから不思議。脳髄をミックスジュースにされる感覚を味わいながら読んでいる。

「精神に異常をきたす」って言われてるけどなんとなくわかるなあと思う。

だって自分が今見ているものが果たして本当に正しいのか、さっき読んだ場所なのに間違ってるんじゃないかとか、自分の解釈誤りか等不安になる要素しかない。

 

山椒大夫・高瀬舟 (新潮文庫)

山椒大夫・高瀬舟 (新潮文庫)

 

 ドグラ・マグラ読んだら次はこれを読む。

harmony

 

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

 

 小説の方を読了したあとに映画が公開されたので見てきました。

おネタバレが転がっています

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